トラックリースバックとは?資金調達の仕組みやメリット・デメリットを解説

「急な出費で手元の現金が必要になった…」「燃料費や人件費が上がって資金繰りが厳しい…」
そんなお悩みを抱える運送会社の経営者様も多いのではないでしょうか?
最近では、全日本トラック協会(※出典1)や国土交通省(※出典2)でも指摘されている通り、燃料コスト・労働環境の変化や、いわゆる「2024年問題」による運賃交渉の難しさ、コロナ特例融資の返済本格化などが重なり、多くの運送事業者が資金繰りに頭を悩ませています。
そんな厳しい環境のなかで、銀行融資に頼らない新しい資金調達の手法として注目されているのが「トラックリースバック」です。
トラックリースバックを使えば、自社で所有しているトラックを専門業者へ売却してまとまった現金をすぐに調達できます。しかも、売却後も月々のリース料を払いながら同じトラックに乗り続けられるため、配送業務を止める必要が一切ありません。
本記事では、トラックリースバックの基本的な仕組みから、通常の買い取りや一般リースとの違い、財務上の5つのメリット、失敗しないための注意点、実際の申し込み手順まで分かりやすく解説します。「自社のトラックで資金繰りを改善したい」とお考えの方は、ぜひ最後まで参考にしてみてくださいね。
トラックリースバックの仕組みとは?売却とリースの仕組みを解説

まずは、「トラックリースバックがどのような仕組みなのか」から見ていきましょう。
トラックリースバックとは、自社で所有しているトラックなどの車両を、リース会社や専門買取業者へ一度売却して売却代金を現金で受け取り、同時にその車両で賃貸借(リース)契約を結んで、そのまま事業で使い続ける資金調達の仕組みです。
一般的なリースバックの定義としては、国税庁の解説(※出典3)においても「所有資産を売却して一括で現金を得た上で、賃貸借契約を結び引き続き対象資産を使用する仕組み」と定められています。
通常の「買取(単純売却)」だと、トラックを手放すことになるため現場の仕事がストップしてしまいますよね。しかしリースバックなら、「売却」と「リース契約」を同時に行うため、現場の運行計画や配車を一切変えずに、素早く運転資金を確保できます。
お金とトラックの流れは、以下のようにとてもシンプルです。
- 1. トラックの売却:自社のトラックを査定に出し、専門業者へ売却して所有権を移します。
- 2. 売却代金の受け取り:専門業者から、売却代金が一括で自社の口座へ振り込まれます。
- 3. リース契約の締結:代金受け取りと同時にリース契約を結び、専門業者からトラックを借りる形にします。
- 4. そのまま事業で継続使用:毎月定額のリース料を支払うことで、今までと同じトラックを現場で使い続けられます。
通常のトラック購入・買取(単純売却)・一般リースとの違い
トラックの入手や処分にはいくつかの方法があります。「手元に残る現金」「トラックを使い続けられるか」「所有権はどこにあるか」というポイントで比較してみましょう。
| 比較項目 | トラックリースバック | トラック購入(所有) | トラック買取(単純売却) | 一般のトラックリース |
|---|---|---|---|---|
| 手元の現金 | 売却代金が一括で入り、すぐに現金が増える | 購入代金で大きく減る | 売却代金が入って一時的に増える | 頭金などを抑えられる |
| トラックの所有者 | リース会社(専門業者) | 自社 | 買取業者や第三者 | リース会社 |
| 売却後の使用 | 今使っているトラックをそのまま使い続けられる | そのまま使える | トラックを手放すため使えない | 新しいトラックを使い始める |
| 利用目的 | 今ある車両を活用したスピーディーな資金調達・財務改善 | 資産として長期運用 | 不要な車両の処分 | 初期費用を抑えて新車・中古車を導入 |
単純な買取に送ると一気にお金は入りますが、トラックが無くなって仕事を受けられなくなってしまいますよね。それに対してリースバックなら、稼働中のトラックを現場に残したまま現金を調達できるのが一番の強みです。
対象となるトラックの種類(ダンプ・特装車・年式の古い車両)
「うちのトラックでも利用できるのかな?」と疑問に思うかもしれません。
実は、トラックリースバックの対象となる車両は、一般的なアルミウイングや平ボディだけではありません。中古市場で価値がつく働く車であれば、驚くほど幅広い車種で利用できます。
- 工事・建設車両:ダンプカー、コンクリートミキサー車、セーフティローダーなど
- 配送・特殊輸送車:冷凍車、冷蔵車、危険物・化学薬品の輸送車など
- 作業車・特装車:クレーン付きトラック、穴掘建柱車、コンテナ専用車など
- 大型車・バス:トラクターヘッド(トレーラー)、大型バス、2t以上の各種トラックなど
新車や新しい年式のトラックはもちろん、走行距離が多く年式が古い「低年式車」でも対応してもらえます。日本製のトラックやクレーンなどの上物(架装部分)は海外でも非常に人気が高いため、思わぬ高値で査定してもらえることもよくあります。古いからとあきらめず、まずは査定を検討してみるのがおすすめです。
所有者名義の変更と緑ナンバー(事業用)のそのまま対応
「リースバックをすると、緑ナンバー(事業用ナンバー)は外れてしまうの?」と心配される方もいらっしゃいます。
結論からお伝えすると、緑ナンバーのまま問題なく使い続けることができます。
契約を結ぶと、車検証の「所有者の氏名又は名称」はリース会社に変更されますが、「使用者の氏名又は名称」は自社のまま残ります。
国土交通省が定める一般貨物自動車運送事業の運用ルール(※出典4)に基づき、緑ナンバーで運行するために必要なのは「事業者がそのトラックを使う権原(権利)を持っていること」です。適切なリース契約書を添えて運輸支局へ届け出ることで、使用者が自社であれば緑ナンバーを維持できます。運行計画を変更したり、ナンバーを付け替えたりする必要もありませんのでご安心ください。
トラックリースバックで資金調達する5つのメリット

運送会社様がトラックリースバックを活用することで得られる、5つの大きなメリットをまとめました。
まとまった資金・現金を即座に調達できる
所有しているトラックの査定金額に応じた売却代金が一括で入金されるため、短期間でまとまった現金を確保できます。
銀行の融資を受ける場合、審査や書類準備で1〜2ヶ月ほどかかってしまうことも珍しくありませんよね。その点、トラックリースバックは「トラック自体の価値(時価)」を中心に審査が進むため、手続きが非常にスムーズです。問い合わせから最短1〜2週間程度で口座にお金が振り込まれるスピード感は、突発的な整備費用の発生や税金の支払いなど、急な資金ニーズの強い味方になってくれます。
売却後も車両をそのまま所有・使用して事業を継続可能
所有権はリース会社に移りますが、ドライバーさんは売却前とまったく同じトラックに乗り続けることができます。
運送業にとって、トラックを手放すことは受注できる仕事が減り、売上の低下に直結してしまいますよね。リースバックなら、現場の稼働率や荷主様との信頼関係を100%保ったまま、手元の現金だけを増やすことができるのです。
財務内容の改善と貸借対照表(BS)のオフバランス効果
会社のバランスシート(貸借対照表)に載っていた重い固定資産(トラック)を売却してリース化することで、財務体質をキレイにする「オフバランス効果」が得られます。
国税庁の「リース取引についての取扱いの概要」(※出典3)や国税庁の減価償却関係資料(※出典5)、リース事業協会のQ&A(※出典6)にも示されている通り、セール・アンド・リースバック取引によって資産を売却・リース化した場合、毎月の支払リース料は原則として損金(経費)として算入できます。
固定資産を減らして流動資産(現金)を増やすことで、総資産利益率(ROA)や自己資本比率といった指標が良くなり、会社の評価が高まります。また、損金算入によって利益を適正に圧縮できるため、節税対策や費用の平準化にも役立ちます。
銀行の融資枠(与信枠)とは別枠での資金調達
トラックリースバックによる資金調達は、銀行からの「借入れ(金銭消費貸借)」ではありません。あくまで資産の売却と賃貸借契約に基づいているためです。
そのため、現在契約している銀行の融資枠(与信限度額)を一切減らさずに資金を作ることができます。「すでに銀行からの借入が多くて追加融資が難しい…」「リスケ中で銀行に頼れない…」という状況であっても、自社のトラックに価値が残っていれば柔軟に現金化できます。
毎月の費用管理の明確化と計画的な資金繰り
直接トラックを所有していると、毎年やってくる自動車税や重量税の納付、車検費用、予期せぬ修繕費など、時期によってまとまった支出が発生して大変ですよね。
リースバックを活用してこれらの維持費用を毎月の定額料金に組み込むことで、支出の波がなくなり、毎月の資金計画がぐっと立てやすくなります。経営の安定化にもつながる嬉しいポイントです。
利用前に知っておくべきデメリットと契約時の注意点

たくさんのメリットがあるトラックリースバックですが、あらかじめ知っておくべき注意点やデメリットもあります。「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、契約前のチェックポイントもしっかり確認しておきましょう。
長期的な総支払額と毎月発生するリース料の負担
リースバックを利用すると一気にお金が入ってきますが、契約期間中は毎月決まったリース料を支払っていくことになります。
月々のリース料には、売却代金だけでなくリース会社の手数料や金利相当額、保険料などが含まれています。そのため、契約満了までに支払うトータルの金額は、最初に受け取った売却代金よりも高くなります。調達した資金をどう事業に活かして利益を出していくか、将来の支払い計画を事前に考えておくことが大切です。
中途解約時の違約金リスクと適切な契約期間の設定
トラックのリースバック契約は、原則として途中でキャンセル(中途解約)することができません。
万が一、事故で廃車になってしまったり、途中で解約したい場合は、残りの期間のリース料や違約金(規定損害金)を一括で払わなければならなくなります。自社のトラックの買い替え予定や事業計画に合わせて、無理のない適切な契約期間(一般的に3年〜5年程度)を設定するようにしましょう。
Loan残債(一括返済・組み直し)がある場合の査定対応
「まだローンの返済が残っているトラックなんだけど…」という場合でも、リースバックの申し込みは可能です。この場合、トラックの査定額とローン残債のどちらが高いかによって対応が変わります。
- 査定額のほうが高い場合(アンダーローン):売却代金でローンを一括返済し、残った差額の現金をそのまま受け取ることができます。
- ローン残債のほうが高い場合(オーバーローン):売却代金だけではローンを返しきれないため、不足分を自分で用意するか、残りを月々のリース料に上乗せして組み直す相談が必要になります。
残債があるときは、専門業者の担当者さんに事前にしっかり相談して手順を確認しておくと安心ですよ。
審査基準と金利・各種費用の構造
リースバックの審査は、銀行のように決算書だけで不採用になるわけではありません。赤字決算や債務超過であっても、「トラック自体の価値」や「これからの事業継続性」を重視して柔軟に審査してくれます。
ただし、会社の信用度やトラックの年式によっては、適用される利率(金利)や手数料が高くなることがあります。年利6.8%などの高めの設定になる場合もありますので、手数料や利息を含めた「毎月の実際の支払負担額」をかならず確認するようにしてくださいね。
クローズドエンド・オープンエンド契約の違いと査定評価
リース契約には「オープンエンド契約」と「クローズドエンド契約」の2種類があり、契約が終わったときの精算方法が違います。
| 契約タイプ | 特徴と仕組み | 契約が終わるときの対応 |
|---|---|---|
| オープンエンド契約 | 契約時に、満了時のトラックの残価(予測価値)をあらかじめ示してくれる方式。 | 満了時の実際の査定額と残価の差額を精算します。月々の支払いを安く抑えやすく、契約後にトラックを買い戻したい場合に最適です。 |
| クローズドエンド契約 | 満了時の残価を提示せず、値崩れのリスクをリース会社が負う方式。 | 満了時の精算はありませんが、原則としてトラックは返却となり、買い戻すことが難しい場合があります。 |
将来的にトラックを再び自社の所有に戻したい(買い戻したい)と考えている場合は、オープンエンド契約を選んでおくのがおすすめです。
申し込みから現金化までの流れ(STEP)と必要書類

ここからは、実際に申し込みをしてから現金を受け取るまでの具体的な流れと、必要な書類をご紹介します。
手続きの流れ(STEP1〜STEP5)
問い合わせからご入金までのステップは、とても分かりやすい5つの手順で進みます。
STEP 1: お問い合わせ・個別相談
まずはホームページのフォームや電話、FAXから専門業者へ連絡します。保有しているトラックの種類、年式、走行距離や、「いつまでにいくら調達したいか」という希望を伝えます。
STEP 2: トラックの査定 & リース料の試算
車検証の情報や写真、現地での実車確認をもとに、トラックの買取価格(査定額)を算出してもらいます。同時に、売却後に支払う月々のリース料や契約期間のシミュレーション結果が提示されます。
STEP 3: 与信審査
査定額や条件に納得したら、本格的な審査に入ります。直近の決算書などを提出し、社長様へのヒアリングなどを通じて今後の事業プランが確認されます。
STEP 4: 契約(売買契約 & リース契約)
審査が通ったら、トラックの「売買契約」と「リース契約」を同時に結びます。最近ではスマホやパソコンで完了する「電子契約」に対応している業者も増えています。
STEP 5: 売却代金の振込・リース開始
名義変更などの書類確認が済むと、指定した口座に売却代金が一括で振り込まれます。所有権はリース会社へ移りますが、そのまま同じトラックで業務を継続できます。
トラックリースバックに関するよくある質問(FAQ)

Q. 車検費用や税金・メンテナンス代金の負担はどうなりますか?
リースバックを行った後の車検代、自動車税、整備費用や任意保険料などは、原則として「使用者」である自社の負担となります。
所有権はリース会社に移りますが、実際の運行管理やメンテナンスを行うのは使用者だからです。ただし、毎月のリース料にこれらの維持費を全てコミコミにして定額化できる「メンテナンスリース」プランを用意している業者もありますので、管理の手間を減らしたい方は相談してみてくださいね。Q. 契約期間が満了した後は車両を買い戻す(再取得)できますか?
はい、最初に契約するときに買戻しのオプションに入れておけば、契約が終わったときに買い戻して再び自社所有に戻すことができます。
契約期間が終わるタイミングでは、以下の3つの選択肢から自社の状況に合わせて自由に選ぶことができます。- 買い戻す(再取得):あらためて査定を行い、提示された買戻し金額を支払って名義を自社へ戻します。
- 再リースする:車両は借りたままで、安くなった月額リース料で契約を更新してそのまま乗り続けます。
- 返却する:トラックをリース会社へ返却して契約を終了します(新車や別のトラックへ入れ替える際に便利です)。
トラックリースバックはどのような企業におすすめ?検討チェックリスト
「うちの会社もリースバックを検討すべきかな?」と迷ったときは、以下のチェックリストを参考にしてみてください。
| 自社の現状・お悩みチェック項目 | チェック |
|---|---|
| 銀行の追加融資に時間がかかっていて、今すぐ必要な運転資金が足りない | ☐ |
| 燃料費の上昇や過去の融資返済で、手元の現金が減ってしまい不安だ | ☐ |
| トラックを売って現金を作りたいが、現場の仕事や配車を止めるわけにはいかない | ☐ |
| 会社のバランスシートをスリム化して、財務指標(ROAなど)を良くしたい | ☐ |
| 年式の古いトラックや特殊な作業車を持っており、その価値をお金に換えたい | ☐ |
| 近くやってくる税金の納付や車検費用にあてるための現金を確保しておきたい | ☐ |
まとめ:トラックリースバックで車両を活用し安全な資金繰り改善を

トラックリースバックは、今お持ちのトラックを売り出して即座にまとまった現金を確保しつつ、今まで通り同じトラックで仕事を続けられる画期的な資金調達方法です。
銀行の融資枠を使わずにスピーディーにお金を作れるため、急な出費への対応やコロナ融資の返済対策、財務体質の改善において大きな力を発揮してくれます。
もちろん、毎月のリース料の発生や中途解約ができないといった注意点もありますので、事前にしっかり計画を立てることが大切です。
「手元の現金を増やして安心したい」「古いトラックを活かして資金繰りを楽にしたい」とお考えの方は、まずはトラックの価値を正しく評価してくれる実績豊富な専門店(トラック王国など)へ査定を依頼し、自社にぴったりのシミュレーションを試してみてはいかがでしょうか?
【参考資料一覧】
本記事の執筆にあたり、以下の公的機関および業界団体の公開資料を参照・引用しております。
参照した公的資料・業界資料の一覧を見る
- ※出典1:全日本トラック協会 「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2024」
- ※出典2:国土交通省 「物流2024年問題関連資料」
- ※出典3:国税庁 「No.5702 リース取引についての取扱いの概要」
- ※出典4:国土交通省 「トラック事業関連ページ」
- ※出典5:国税庁 「法人税基本通達関係資料(減価償却・リース関係)」
- ※出典6:社団法人 リース事業協会 「リース取引の税務上の取扱いに関するQ&A【法人税編】」
8Wheel 編集部
【編集部メンバー】
幼少期より親族の仕事の影響で自動車に親しむ。
学生時代に在住したヨーロッパでは、Mercedes-Benzとともに欧州の自動車文化を肌で体験。
Ford本社工場への訪問経験を持ち、車両が持つ本来の価値を見極める視点を大切にしている。
現在は「モビリティを資産として正しく扱う」をテーマに、トラック売却・法人ETC・輸入車査定の比較情報を中立的な立場から提供している。


